お子様が小さいときから、きちんとした食生活習慣と適切な口腔衛生習慣を身につけることは、生涯にわたる豊かな食生活を支え、クオリティーオブライフの向上に大変重要だと考えています。
当院では、お子様のお口の状態と成長に合わせて、
ご家庭でできる虫歯予防と当医院で行う虫歯予防についてご提案しております。
虫歯予防には、「ご家庭でできること」と「当院でできること」の2つがあります。
もちろん一番大切なのは、ご家庭での日々の生活の中での歯磨き習慣や食生活ですが、ご家庭でできることと当院でご提案している各種予防処置を組み合わせることで、より効果的に虫歯を予防します。
特にアメやガムなどをちょこちょこ食べるのは大変危険です。
どうしても食べたい時はキシリトール100%のものにしましょう。
おやつやジュースの取り方で一番虫歯になりやすいのは回数や時間の多い場合です。
同じお砂糖の量でも一度に摂取する場合よりもだらだら取るほうがはるかに虫歯になりやすくなります。
そのため、あめやガム、グミやソフトキャンディ、ペットボトル入りのジュース・スポーツドリンクは、だらだら食べになりやすいため、虫歯になりやすいと考えられています。
逆にビスケットやおせんべい、フルーツなどはお皿に載せて決まった時間に食べることが多いので比較的安全と考えられます。
もともと、小さなお子さまは胃が小さいため、三度の食事では、栄養が不足しがちですので、間食(おやつ)は必要です。
理想的には10時と3時などに時間を決めて、椅子に座ってお皿に乗ったおやつを食べるようにしましょう。
1日1回でもきちんと歯磨きをすることが大切です。
自分できちんとできるようになるまでは、お膝の上に寝かせて奥歯までしっかり磨いてあげましょう。
歯ブラシもお子様の歯の状態に合ったものを使うことが大切です。
歯磨きは、回数を多くやるよりも、1日1回でもきちんと磨いている方が効果が高いといわれています。
歯に汚れがたまり、虫歯菌が増殖して酸を出し、歯を溶かす(虫歯になる)までには数日以上かかるといわれています。そのため、歯磨きが不十分で虫歯になってしまったとしたら、おそらく数週間~数か月間その場所の汚れが除去されていなかったと考えられます。
このような場合は、1日の歯磨きの回数をむやみに増やすのではなく1日1回でもきちんと磨くことが虫歯予防に効果的です。
とくに、虫歯菌は唾液の減る夜間に増殖しますので、寝る前の歯磨きが一番大切です。
もちろん、歯磨きには虫歯や歯肉炎の原因となるプラーク(歯垢)を除去するという目的だけでなく、口臭の原因にもなる食べカスなどを除去する目的もありますので、毎食後の歯磨きも大切です。
このようなことから私たちは、朝と昼は本人(または保護者の方)が磨き、夜は必ず保護者の方が仕上げ磨きをすることをお勧めしています。(0歳から8歳以上まで)
歯と歯の間の虫歯を予防するにはデンタルフロスしかありません。
食べカスが詰まっていなくてもきちんとやりましよう。
歯と歯の間に隙間がない場合などでは、小さなお子さま(2歳から)でもデンタルフロスが必要です。
目で見て歯と歯の間に隙間がなければ歯ブラシの毛先が届いていない可能性があるので1日1回はデンタルフロスでお掃除してください。
とくに6歳くらいになると永久歯の奥歯が生えてくることで今まであった歯と歯の隙間が詰まり、汚れがたまりやすくなることで、歯と歯の間の虫歯が急増します。
仕上げ磨きの際に一緒にデンタルフロスもしてあげてください。
とくに小さなお子様では片手でできるホルダー付きのフロスが使いやすくお勧めです。
一般に、お子さまが母乳やミルクで虫歯にならないためには1歳6ヶ月までに卒乳するのが好ましいとされています。
ただ、子どもとの接し方や家庭環境はさまざまですので、無理にやめることが難しい場合もあります。
そのような時は、歯磨きやフッ素などできることから始めましょう。
お子さまに最適な歯磨き方法は、年齢や歯磨きの好き嫌いだけでなく、歯並びや歯ぐきの筋、食生活習慣などを考慮してそれぞれのお子さまに最適な方法を知り、習得する必要があります。
とくに歯磨き方法の習得時期は、手先の動きが器用になり、歯磨きの重要性も理解できるようになる5~6歳から、思春期の始まる前の8~9歳までが最適です。
また、歯磨きの習得は1~2回の練習で身につくものではありません。
少しずつ何回にもわけて、定期的に練習することが大切です。
奥歯のかむ面や前歯の裏側にある溝は、汚れが溜まりやすく虫歯のできやすい大変危険な部位です。
また、溝が細いところは歯ブラシの毛先より細く、日々の歯磨きでは溜まった汚れが取れません。
このような歯の溝を完全にきれいにした後、フッ素が放出される樹脂で溝を埋めて、汚れやばい菌が入り込まないようにするシーラント処置が有効です。
この処置は、乳歯や生えたての永久歯に効果があります。
とくに生えたての永久歯は硬さが大人よりやわらかく、2年くらいかけて唾液のカルシウムと反応して成人の硬さになるので、生えてから2年くらいは虫歯になりやすかったり、着色しやすかったりするためです。
ただ、シーラント処置をしたからといって、むし歯にならないわけではありません。
しっかり歯みがきをしなければ、歯と歯の間や、歯と歯ぐきの間からむし歯になってしまいます。
また、シーラントは歯を削らずに光で固めるだけなので、成長による咬み合わせの変化などにより3ヶ月くらいではがれることもあります。
このことからも、一通り治療が終わった後も3カ月おきの定期検診の受診をお勧めします。
レントゲン写真等をつかって、虫歯の有無や虫歯になりそうな歯がないか歯並びや萌え代わりに異常がないか点検します。
お口の健康を保つ上で、最も大切なことは、定期的な検診を行うことにあります。
お子さまの歯並びやかみ合わせは日々変化しており、乳歯と永久歯が正しく交換していくことが正常な歯並びやかみ合わせをつくる上で大切です。
また、乳歯の虫歯は気がつかないうちに進行してしまう事も多く、虫歯の治療をした乳歯は、永久歯との正常な交換が妨げられる場合がありますので、適切な時期に処置を行うためにも定期的(3ヶ月おき程度)検診が有効とされています。